ちぃたん☆を運営する株式会社クリーブラッツと須崎市の裁判について
1.はじめに
株式会社クリーブラッツ(本社:広島県呉市青山町5番1号、代表取締役:池田正流氏(別名:池田せいじ氏、芳晶せいじ氏)、以下「クリーブラッツ社」といいます。)の運営する「キャラクターちぃたん☆」は、現在多方面でのメディア露出やコラボレーション活動を行なっていますが、その活動に関し、損害賠償請求や使用差止請求等をめぐり、今なお、須崎市(以下「当市」といいます。)と訴訟で係争中です。その第一審(東京地方裁判所)の弁論が、令和6年10月17日に終結し、令和7年2月7日に判決が言い渡されることになりましたので、その経緯等について報告させていただきます。
なお、この件に関するお問合せは、電子メールによるもののみお受けいたしております。電話や窓口でのお問い合わせについては、対応いたしかねますのでご了承ください。
2.事件名
●令和3年(ワ)第18479号損害賠償請求事件
⇒(クリーブラッツ社が当市に損害賠償を求めて訴えた事件)
●令和5年(ワ)第70136号使用差止め等反訴請求事件
⇒(当市がクリーブラッツ社に対し、「キャラクターちぃたん☆」の活動差止め等を求めた反訴事件)
3.双方の共通認識
「キャラクターちぃたん☆」は、しんじょう君に似せてデザインされたこと。
4.双方の主張(対立点)
●クリーブラッツ社
「キャラクターちぃたん☆」の活動は、当市より黙示の許諾(正式な書類による許可はないが、「キャラクターちぃたん☆」が誕生してからの活動に対し、当市が異議の意思表示をしていないことにより、許可と同等の効果がある)を得ており、適法な活動である。
●当市
当市は、生き物である「コツメカワウソちぃたん☆」に観光大使を委嘱したもので、「キャラクターちぃたん☆」は、当市の意に反しクリーブラッツ社が強引に製作し活動をはじめ、既成事実を積み重ねたもの。後述の理由によりクリーブラッツ社を信頼できなくなり、観光大使を解任した時点で「キャラクターちぃたん☆」も活動を停止すべき。
仮に黙示の許諾が成立するとしても、その許諾は「何に対し?」「いつまで(期限)?」「対価は?」等、何も定かではなく、このような不安定な法的関係を継続させることは、一方的に権利者である当市に不利益(経済的不利益+イメージ等のソフト的不利益)をもたらすものである。
5.これまでの経過
クリーブラッツ社は、裁判において「キャラクターちぃたん☆」の利用を永年、無償、無条件・無制限で行えると主張していますが、これまでの経過については、下記のとおりとなっています。
●平成25年4月
しんじょう君、お披露目。
●平成28年11月
しんじょう君、「ゆるキャラグランプリ2016」で優勝。
●平成29年8月
クリーブラッツ社より、しんじょう君に「コツメカワウソちぃたん☆」の冠番組(チバテレビ)に出演してほしいと打診がある。
●平成29年9月
クリーブラッツ社より、「コツメカワウソちぃたん☆」を当市の観光大使にしてほしいと話を持ちかけられる。その際、「コツメカワウソちぃたんは、ツイッターのフォロワー数が数十万人を超えていて、当市をPRできる」などと、それによる当市のメリットについて説明される。当市は、当市のために協力を申し出てくれているものと素直に信じ、これに応じる方向で話を進める。
クリーブラッツ社より、「キャラクターちぃたん☆」を作成したいので、しんじょう君のデザイナーを紹介してほしいと依頼され、これに応える。
なお、「キャラクターちぃたん☆」は、「しんじょう君の兄弟とか親友という設定で作りたい」などと提案されたが、当市は、すべて断る。
●平成29年10月
「キャラクターちぃたん☆」のイラストについて、ほぼ完成した段階で初めて当市に示される。あまりにもしんじょう君に似すぎていたため、デザインの変更について提案するも、変更されることはなかった。
(※)しんじょう君に似すぎていたことについては、デザイナーが同じであるため、たまたま同じようなデザインになったものだと思っていたところ、実は当市に無断で「しんじょう君を女の子にしていただいて、胸元にリボンなどをつけていただければうれしいです」などと、しんじょう君に似せてデザインするよう、クリーブラッツ社がデザイナーに指示をしていたことが、後の裁判において発覚した。
●平成29年11月
クリーブラッツ社より、「キャラクターちぃたん☆」の着ぐるみを作成するにあたり、また、関係各所から、デザインがしんじょう君の色違いだが許可を取れている保障がほしいといわれており、これに対応できるようにしたい旨の相談を受ける。
これに対し、当市は「キャラクターちぃたん☆」の着ぐるみを製作し、本家であるしんじょう君や当市のPRのために、須崎市観光大使委嘱式に出席したり、それに関連して多少の活動をしたりする程度であれば、しんじょう君そのものを作るわけではないから、委嘱式までの時間的制約に鑑みて、特に許可等の手続は必要ないものとして扱うこととし、「着ぐるみ製作であれば、しんじょう君を作るわけではないから、許可する必要はない」旨の回答をする。
これに対し、クリーブラッツ社より「着ぐるみ製作会社だけではなく、今後タイアップする企業へも証明しなければならないため、その旨を正式な書面により証明してほしい」と依頼される。
当市は、正式な書面での発行が必要であれば、具体的な許可の内容、範囲、条件等の希望を明示した正式な書面で申請いただき、その内容を審査した上で、正式に決定する必要がある旨を伝えるも、以降、正式な書面での申請は一切なされていない。
●平成30年1月
東京都内において委嘱式を開催。正式に「コツメカワウソちぃたん☆」を須崎市観光大使に委嘱する。この時、「キャラクター(着ぐるみ)ちぃたん☆」がお披露目される。
●平成30年2月~6月
「キャラクターちぃたん☆」の過激な動画が炎上。当市に大量のクレームが寄せられるようになる。
当市は、「コツメカワウソちぃたん☆」を観光大使に任命しているため、沈静化に協力したり多方面で活動をバックアップする。
●平成31年1月
「キャラクターちぃたん☆」が当市のPRと無関係に営利活動に邁進するようになり、当市の観光大使としての活動がなくなっていたこと、観光大使任命の理由であるtwitterのフォロワーが水増しであったこと、当市に無断で「キャラクターちぃたん☆」のイラストに係る国内商標登録を平成29年12月に行っていたこと、週刊誌報道による池田社長のスキャンダル等の理由により、クリーブラッツ社との信頼関係が維持できなくなり、「コツメカワウソちぃたん☆」の観光大使の解任と、「キャラクターちぃたん☆」の活動停止を求める。
●平成31年2月
当市の定例記者会見において、「キャラクターちぃたん☆」の問題点を指摘する。
東京地方裁判所に「キャラクターちぃたん☆」の標章と着ぐるみの使用禁止を求める仮処分命令申立を行う。
●令和元年9月
「キャラクターちぃたん☆」の標章と着ぐるみの使用については、当市の黙示の許諾が認められるとして、仮処分の申し立てが却下される。
●令和元年10月
即時抗告を行う。
●令和元年12月
即時抗告が棄却される。
●令和3年7月
クリーブラッツ社は、当市が行った定例記者会見等により損害を被ったとして、当市に対し、約4,324万円の損害賠償請求を起こす。
●令和5年3月
上記事件に対し、「キャラクターちぃたん☆」の使用差止と損害賠償(不当利益返還)を求め、反訴を行う。
6.クリーブラッツ社の対応への疑義について
クリーブラッツ社の池田社長は、過去に自身が代表をつとめるホストクラブで使用していた登録商標を、事業独立した元従業員が無断で商標出願したと主張し、別の無効理由を掲げるなどしながら、特許庁に対し少なくとも三度にわたり無効審判を請求(結果、請求は不成立となっています。)するなど、知的財産権について相当の法的知識を有していたにも関わらず、なぜ書面により契約を交わすことについて積極的に行わなかったのでしょうか。
「キャラクターちぃたん☆」は、当初から営利目的の商業活動で使用するつもりであったと言うのであれば、利用停止(許可の取消し)を申し渡された場合等の損害(リスク)を回避するうえでも、当市に対しその旨を明確に意思表示したうえで、必要な事項に関し書面により契約を交わすよう、許可を必要とするクリーブラッツ社側から積極的に行動すべきではなかったのかと疑問に感じます。それが一営利企業としての常識ではないでしょうか。
ご当地キャラの業界では、本家のオリジナルキャラのために、非公認の派生キャラがPR等の活動をしている例がまま見られます。たとえば、「ふなっしー」に対する「ふにゃっしー」「ふなごろー」などであり、いずれの派生キャラも、節度をもって、本家をリスペクトして活動しています。
当市は、「キャラクターちぃたん☆」が、しゃべれない「コツメカワウソちぃたん☆」の代わりに活動する、しんじょう君の非公認の派生キャラであると認識しており、ご当地キャラクター業界の人々の温かい関係を信頼して、「キャラクターちぃたん☆」が、しんじょう君の派生キャラとして、本家であるしんじょう君を盛り立てて、「コツメカワウソちぃたん☆」とともに、当市のPRのために活動してくれるものと期待して、いわば善意でその活動を見守ることにしたものです。
クリーブラッツ社の行動は、当市の善意に付け込み、当初から正式な契約書がないまま商業活動をなし崩し的に拡大させ、それを既成事実として、永年、無償、無条件・無制限で「キャラクターちぃたん☆」を活動させようと、あえて契約書を交わさなかったのではないかと疑わざるを得ません。
つまり、池田社長は一定の知的財産権の知識を有した上で、当市の意向に反し「キャラクターちぃたん☆」を製作し、当市の意向を確認せず勝手に商標登録申請を行い、当市と正式な契約をすることなく、クリーブラッツ社の経済的利益だけのために、しんじょう君の人気にフリーライドし、営業活動を拡大していったといえます。このようなクリーブラッツ社池田社長の巧妙な手口は、著作権法等の立法趣旨をないがしろにし、「やった者の勝ち」の世界に通じるものではないかと考えます。
7.最後に
市民の皆様や応援してくださる皆様をはじめ、たくさんの関係者の皆様にご心配をおかけしており、大変申し訳ございません。
当市といたしましては、過疎化が進む町のプロモーションのためにしんじょう君を活用し、また、その効果をより高める目的で「コツメカワウソちぃたん☆」と協力し、取り組みを進めていこうと考えておりました。
しかしながら、観光大使依頼の理由であったフォロワー数も「コツメカワウソちぃたん☆」「キャラクターちぃたん☆」の誕生前から運用されていた別人名義のアカウントを転用して運用を開始するという形で水増しされたものであり、無断で商標登録を行われ、過激な活動等に対するクレームが殺到し、週刊誌報道による池田社長のスキャンダルを知り、多数のフォロワーに向けて観光プロモーションをしていただけるとの言葉を信じ、善意で行っていたものがことごとく裏切られる結果となりました。加えて、当市に対し、約4,324万円の損害賠償を請求されるなど、クリーブラッツ社との信頼関係は完全に失われております。
現在、しんじょう君は、当市の救急車や消防車、事業所の看板やシャッター、ポスターやチラシなど、市内のいたるところで目にすることができ、まちのPRや市民の心の拠り所として公的な役割を果たしています。裁判においては、当市も証拠に基づき主張を重ねながら争ってまいりましたが、最終的には裁判所の判決を待つ以外にありません。非常に大切な市民の公有財産であるしんじょう君が、今後も安心して活躍できるよう、条理に適った、適切な判決を望んでおります。
また、現在クリーブラッツ社は、当市とのトラブルが円満に解決したと称して「キャラクターちぃたん☆」の営業活動を行っているという話も耳にしておりますが、現に訴訟で係争中であって、全く事実に反しますので、注意を喚起させていただきます。
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