産業
農 業
本市の農業は、温暖な自然条件と栽培技術を生かした施設園芸、露地野菜及び柑きつ類が主体となり、水稲との複合経営が行われている。
2010年世界農林業センサスによる総農家数1,234戸、経営耕地面積は462haとなっている。
農産物の流通については、大半が農協への系統出荷であり、主要品目としてはミョウガ、キュウリ、シシトウ、花卉が挙げられる。
なかでもミョウガ栽培は、全国一の販売額となっており主要産地として県内外での市場評価も高い。
農業振興対策
土地基盤や農業近代化施設の整備を進め、農用地の高度利用と省力化を図り、農業経営の合理化、近代化をめざす。 また、複合経営による農家経済の安定、農業後継者の育成に努力している。
林 業
本市の森林面積は10,190haで、その内訳は民有林9,701ha、国有林489haである。また、民有林の人工林面積は4,702haで、人工林率は約48%となっており、優良な人工林が形成されている。
これらの森林に対する適切な間伐、保育等による森林整備が重要な課題だが、林業の採算性の悪化などにより林業生産活動が全般的に停滞し、間伐、保育等が適正に実施されず、水源かん養機能や国土保全機能が十分発揮できない森林が存在するようになってきている。
このような状況により、間伐、保育等の森林整備を積極的に実施するとともに単層林のみの施業を見直し、地域に適した多様な森林資源の維持造成を推進するため森林所有者に対し、環境に配慮した経営への意識の向上を図っている。さらには、森林組合や意欲的な林家を核として、作業道の開設と収入間伐が広がりを見せつつある。
水産業
本市の漁業地域は、浦ノ内湾の高知県漁協深浦支所、野見湾の大谷、野見漁協と須崎湾の錦浦、須崎釣、須崎町漁協及び太平洋に面する高知県漁協久通支所、池ノ浦支所の2つに大別することができる。
浦ノ内湾、野見湾では、長年にわたる養殖や集落排水等による漁場環境の悪化が進み、環境改善のため底質や餌の改良を行うなどの取り組みを行っている。
野見湾においては、平成13年度に漁場環境監視システムが完成し、ケーブルテレビ網とインターネットを通じて水質や水温等の海況情報が取得できる体制が整い、養殖魚の低コスト高品質化への取り組みが行われている。
また、養殖魚の「食の安全」に対する消費者の関心が高まる中、業者は消費者のニーズに対応するため安全で安心できる養殖魚を提供するよう、養殖魚のブランド化と飼育の履歴化(トレーサビリティ)への対応を積極的に進めている。
一方、須崎湾及び土佐湾沿岸では、機船船曳網、定置網、刺し網、釣延縄漁業、潜水漁業など、漁協ごとに多種の漁業が営まれており、生産性が高く資源管理が比較的容易な沿岸漁業への取り組みを推進するため、ヒラメ、鯛、エビ、オコゼ、カニ、アワビ等の種苗の中間育成・放流を継続して実施している。
近年の水産業を取り巻く環境は、浜値が低迷しており、漁獲量は増えても漁獲高が上がらないなど、流通・販売に課題も抱えながらも近隣海域にはない豊富な魚種の水揚げがあり、本市の水産業は地元をはじめ、近隣地域の豊かで健康的な食文化を支える重要な役割を果たしている。
商 業
平成19年商業統計調査によると、本市の卸・小売店数は464店(飲食店を除く)、従業者数2,343人、年間販売額約412億円であり、1店当たり従業者数は5.0人で、1店当たりの販売額、従業者1人当たりの販売額とも県平均を下回っており、小規模の事業所が多くなっている。
近年、国道沿いや、桐間地区土地区画整備区域内への大型店などの出店があり商圏は拡大している。従来の市街地商店街は、住宅の密集から商店街整備の立ち後れが目立ち、買物客が減少しているが、お大師通り(西町から中町にかけての通り)では、毎週土曜日に普段の営業に加えて特別のメニューの提供やお茶などのおもてなしをするなど、商店街に活気が戻りつつある。また、毎週木曜日と日曜日には、街路市が開催され、地元の新鮮な農作物や魚介類等が販売されており、市内外の方にとってはコミュニティーの場にもなっている。
現在、高知自動車道の整備に伴い、延伸によっても素通りにならないまちづくりとして、須崎市まち全域がサービスエリア構想の具体化を進めている。その中で、新町本通商店街では、毎日定時のラジオ体操や賑わいづくりのためのイベントを企画し実施してきた。また、JR須崎駅前では地元住民により開運隊が組織され、駅前トイレを地元高校の協力を得てパワーストーンレリーフで装飾するほか、須崎ならではのデザイン画で外壁をペイントするなど、開運スポットとしての賑わいを創出しており、拡がりをもった魅力あるまちづくりに取り組んでいる。
観 光
本市の観光資源は、県立自然公園である天然の良港と典型的なリアス式海岸美を誇る錦浦湾、風光明媚な入江が美しい横浪三里、錦浦湾をはじめ太平洋が一望できる標高769mの蟠蛇森(ばんだがもり)など多くの景勝地がある。
横浪三里の南岸には、横浪黒潮ラインが縦走しており、絶好のドライブコースである。沿岸では磯釣・船釣りなども楽しめる。さらには、ドラゴンカヌー大会が市を代表するイベントとして定着したことにより、カヌーやわら焼きかつおのタタキ体験などが体験型教育旅行に利用されている。
また、建長3年(1251年)の建築といわれる鳴(おと)無(なし)神社(国の重要文化財)や、全国の巨木百選第9位にランクされ推定樹齢が2千年を超える大谷の樟(くすのき)(国の天然記念物)、幕末に築造された「土佐藩砲台跡」(国の史跡)、野見湾に伝わる小正月の行事「野見のシオバカリ」(国の無形民俗文化財)などがある。
そして、「食」では、須崎名物「鍋焼きラーメン」が注目を集め、週末には県内外から多くの観光客が訪れている。
工 業
本市の工業は、背後地の資源を活用し、昭和11年に操業を開始した白石工業(石灰工業)や製材業、それに古くからの技術的特性を持った打刃物・木工業の軽工業を中心として発展してきた。鉱工業適地の要素である資源や重要港湾である須崎港の整備とともに、昭和36年に大阪窯業セメント(現:住友大阪セメント)、昭和46年に日鉄鉱業、昭和47年に松下寿電子工業といった大手企業を誘致し、飛躍的な発展をみた。
しかし、セメント産業は、国内需要の減少や安価な外国産セメントの輸入の増加により、深刻な影響を受けている。近年では、長引く不況の中で情報技術(IT)関連産業の失速に伴い平成14年3月、松下寿電子工業が閉鎖に至ったが、その後、太陽光発電用シリコンウェハー製造企業のエム・セテック社を誘致し、平成16年4月から操業を行っている。エム・セテック社は、平成20年から第2工場の操業を開始するなど、本市の雇用、製造品出荷額等の増加に寄与している。
平成21年工業統計(従業者4人以上の事業所)によると、事業所数41事業所、従業者数1,083人、製造品出荷額等420億円となっており、前年から6事業所が減少したものの、従業者数は、8人(0.7%)増加している。一方、製造品出荷額等は、世界的な金融危機による景気低迷の影響を受け、前年から86億円(17.0%)の大幅な減少となっている。